宝石としての価値は時代とともに変化している
歴史的にみていくと、その国の文化や権力者の嗜好によって宝石に対する好みや価値は時代によってかなり異なっています。
例えば、古代のギリシャやローマ時代にはトルコ石、ラピスラズリ、アメジスト、ジャスパー、カーネリアンが価値のある高級な宝石とされていましたが、当時はダイヤモンドやルビーはあまり価値も見出されていませんでした。
また、中国人やヨーロッパ人が往来する以前のメキシコでは翡翠を特別な石として扱っていたなど、その地域の文化によって宝石の価値はまったくと言っていいほど異なっていたのです。
現代にも通ずる装飾品としてのジュエリーは、14〜15世紀頃にカット研磨技術やデザインの急激な発達にともなって洗練さを手に入れることができたために、その価値が急速に上がっていきました。
さらに、その宝石を資産価値として目を付けたヨーロッパの莫大な富を持つ資産家が収集するようになって、やがて、それらの洗練されたジュエリーはヨーロッパの国々の王族にも好まれるようになっていきます。
個々の宝石に関しては、現在の価値基準であるダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドが宝石のトップとして君臨するのは20世紀に入ってからになります。
そんな歴史を見ていくと、私たちが普段何気なく身に着けているものでも、その時代の人々の間では、この宝石はとても高級だったんだと思いを巡らすだけでも、その価値を改めて認識すると同時に、遠い過去の人々の思いを身近に感じることができそうです。
また、現代でもとても魅力的な宝石なのに何で安価なのだろう、と思う宝石とか、ご自身の勘でこれから人気がでそうな宝石を目利きしていくのも楽しいですね。
実際に新しい宝石は最近でも見つかっていますし、イメージやデザインで見直される宝石はいくつもあります。