パパラチアカラー 色の宝石 多彩なサファイア
宝石業界ではコランダム種のうち、ルビー以外の色はすべてサファイアと呼んでいます。
一般には青色のサファイアがよく知られていますが、それはチタンを含んでいるためで、名前の由来はイタリア語の「青」という意味の「サピリオーネ」に由来するともされますが、ラテン語の「青色」、サンスクリット語の「サターンの石」からということも言われています。
紀元前7世紀頃には、すでに人気のあったものとして知られており、その意味では歴史のある宝石といえます。
サファイアにはイエローやグリーンなどさまざまな色があり、ピンク色のものはピンクサファイアと呼ばれ、そして、ピンクオレンジの色合いのカラーはパパラチアと呼ばれて人気を集めています。
パパラチアは、スリランカ語で”蓮の花”を意味しているとおり、ピンクともオレンジともいえない微妙な色合いをもったきわめて美しい色をしていてそして、青いサファイアは、特に美しいものはブルーサファイアと呼ばれて珍重されます。
現在では枯渇してほとんど採れないようですが、インドのカシミール地方で産出するサファイアが最高級品とされ、コーンフラワー(矢車草)のような深みと透明感のある青が特徴です。
また、サファイアにも表面に光の線が星の形になって現れる(アステリズム)スターサファイアがあり、基準はスタールビーと同じです。
なお、サファイアにもいくつかの処理方法がありますので下記の人為的な処理の項目をご覧ください。
産地
ブルーサファイア
タンザニア、ナイジェリア、マダガスカル、ケニア、マラウイ、オーストラリア、ブラジル、ミャンマー、パキスタン(カシミール地方)、スリランカ、タイ、アメリカ(モンタナ州)
ピンクサファイア
マダガスカル、ミャンマー、スリランカ、タンザニア
パパラチア
スリランカ
イエロー・グリーン・パープルサファイア
オーストラリア、ミャンマー、スリランカ、タンザニア、タイ、アメリカ(モンタナ州)
カラーチェンジサファイア
タンザニア
人為的な処理
コランダムの色を人口的に改善する方法はいくつかあります。
充填・じゅうてん
内包などのキズの反射光を抑えて目立たなくします。石本来の色は損なわれず、キズ周辺の白いムラだけが見えなくなります。
含浸・がんしん
コランダムの内包などにあるキズやヒビを、薬品・樹脂や水などの液体を浸して含ませることです。
加熱・エンハンスメント
高温(1000度程度)で加熱すると色の濃さを変えたり、色ムラをなくしたり、シルク・インクルージョン(白っぽい筋状)を溶かして透明度を高くすることが可能で、恒久的な効果があります。
表面拡散処理・ベリリウム
この加熱方法は、添加物であるクリソベリル起源のベリリウムを高温下でコランダム中に拡散させるというもので、ベリリウム拡散加熱処理と呼ばれるようになりましたが、これは宝石業界でも問題とされている処理方法です。