宝石カットの種類とデザインの歴史 ルネサンス時代
宝石研磨職人たちの努力により、宝石のカット技術が進歩することによってジュエリーのデザイン自体も変わっていく移行期といわれる時代があります。
15世紀頃までのヨーロッパでは赤色といえばルビーであり、その赤いルビーは菱形やカーボションなどの全体の形をデザインとして捉え、装飾ジュエリー職人が貴族や宝石商の注文を基に職人自身の主観や技術を駆使してジュエリーにしていました。
その全体像は、メインになる宝石の印象を保ちながら周りに小さな宝石を飾ることでジュエリー全体をデザインしていたものです。
さらに、職人の腕の見せ所である繊細な金の細工技術やエナメル装飾の色合いによってメインになる宝石を引き立たせていたものが、15世紀以降の宝石カット技術の向上によって宝石自体の細やかなカット面やそれに伴う輝きもデザインとして考えられるようになっていきました。
また、ダイヤモンドの場合も原石の状態である正八面体を半分にしてセッティングしたものや、採掘された当時の原石の形状そのままを活かしたものをジュエリーとして活用したり、その面を当時の技術で磨き上げたりして、現在のラウンドブリリアントカットダイヤモンドの基礎となるようなカット技術が用いられるようになります。
それは、より優れた技術を競い合う当時の装飾ジュエリー職人と、誰よりも素敵な装飾ジュエリーを身に着けたいという貴族たちの思いが結実したものであるともいえると思います。
現代の宝石カットの種類
ファセットカット
宝石の表面に、角度の異なる多数の面を持たせることによって、ひかりを屈折させて、内部から輝いているように見せるカット方法です。
カーボーションカット
角がなく、表面に丸みをもたせて、丸い山形に研磨して、ひかりの屈折ではなく、宝石そのものの光沢を活かすカット方法です。
マーキースカット
宝石の表面に、角度の異なる複数の平たい面を持たせることによって、ひかりを屈折させて、内部から輝いているように見せるカット方法です。
ステップカット
真上から見たときに、宝石が四角いシルエットになるようにカットする手法の総称で、ブリリアントカットと同じく、宝石の代表的なカット方法です。
ミックスカット
外形は丸く、クラウン部分はブリリアントカットに、パビリオン部分はステップカットにするもので、サファイアやルビーなどの色石のカットに用いられることが多いのです。
クロスフォーカット
ダイヤモンドのカット方法のひとつ。カットは46面体で、ひかりの反射効果(リフレクション効果)によって、宝石の中に十字の輝きが現れるのが特徴です。
ファンシーカット
ブリリアントカット以外のカットの総称で、さまざまなカットデザインがあり、一般的な宝石カットの総称にも用いられます。
ブリリアントカット
ダイヤモンドのカット方法で58面体あり、上部からのひかりは内部で苦節や反射を繰り返しながら、クラウン部分からひかりが放たれるカット方法です。
※上記のほかにも多様なカット方法があり、それぞれに名称が付けられています。