宝石ジュエリーの用語集
言葉の意味を解説しています
ジュエリー業界で使われている用語について解説しています。
ダイヤの4cや、一般的に聞きなれたものから、どういう意味なのかわからないものまで、その周辺の用語や解説を交えながら説明しています。
この用語集は常に更新しています。
ア行
一文字
小さなダイヤモンドまたは色石を数個一列に並べたデザインで、指輪の枠とリングの間に透かしが施された場合や、ダイヤモンドと色石を混合した一文字もあります。
インクルージョン
ダイヤモンドや色石にその他の鉱物や水分や気体が内包されたものの総称で、内包物とも呼ばれます。
また亀裂や割れなどもインクルージョンとして取り扱われます。
エタニティ・リング
一文字に似ていますが、一文字と違って石枠のみをつなげたようなデザインで、リングに直接宝石類、主としてダイヤモンドをセッティングした指輪をいいます。
エナメル
ヨーロッパの七宝技法の総称です。アンティークに広く取り入れられてきたもので、エナメルは本来は塗料の意です。フランス語ではエマイユといいます。
エンハンスメント(改良という意味)
人工的に宝石の持つ潜在的な輝きを引き出す技術方法のことを言い、一般的に熱を加えることで原石の色をより輝きを発するようにするものです。
同じ石でも石の内部の素材構造の割合によってもことなる輝きや色合いになることがあり、宝石に同じ処理をしても、同じ結果が出るとは限らないため、一般的には天然の範囲ととして認められています。
カ行
カット
ダイヤのブリリアントカットにはそれぞれの面や突起部分に名称があります。
テーブル
一番上の平らな面です。
クラウン
テーブルから下がる斜めの場所。上から見るとテーブル面と一体になっています。
ガードル
一番横幅のあるところです。
パビリオン
下側半分程度の斜めのところ全体です。
キューレット
一番下の突起した部分。突起はなくカットしてある場合もあります。
カナリー・イエロー
原石あるいは、研磨済みダイヤモンドにきわめて稀に見られる、濃いイエローの一種をいい、この言葉は、単に黄色いだけの色合いのダイヤモンドを表現するために誤用されることがあります。
加熱(エンハンスメント)
高温(1000度程度)で加熱すると色の濃さを変えたり、色ムラをなくしたり、インクルージョン(白っぽいものなど)を溶かして透明度を高くすることが可能で、恒久的な効果があります。
カラー・クラリティー・カット・カラット
ダイヤモンドの価値はクラリティー(Clarity)、カラー(Color)、カット(Cut)、カラット(Carat)の4つの要素で決定されます。この4要素の頭文字をとって4Cといい、クラリティ-は内包物の程度、カラーは色の程度、カットは輝きの基準になるプロポーションの形、カラットはおもさです。
カラット
1カラットは0.2グラムです。かつては各国それぞれ微妙に基準が異なりましたが、1カラット=0.2グラムとして統一しました。
※カラットの語源は、アラビアの「quirrat」とか、アフリカやインドなどで古くからあった計量に使うおもり「カロブ」また、ギリシャ語のイナゴ豆を意味する「Keration」など諸説ありますが、文献などで多く触れられているのはイナゴ豆です。
これは、イナゴ豆を乾燥させると、その重さが約0.2グラムで、さらに、豆の大きさも一定していたため、宝石を量る天秤のおもりとして便利に使われたためとされるものです。
含浸(がんしん)
色石の内包などにあるキズやヒビを、薬品・樹脂や水などの液体を浸して含ませることです。
貴石
一般にモース硬度が7以上の宝石で価値の高いものを貴石といいます。これより価値の下がるものを半貴石と呼ぶこともありますが、現在ではあまり使う言葉ではなくなっています。
通常は、ダイアモンド、ルビー、サファイア、エメラルド、それ以外に希少性や硬度を基準として数種の宝石がありますが、宝石業界内でも統一されていません。
キャスティング
キャスト加工とは、ワックスなどの素材を彫ったり、成形した原型から立体的な金属フォルムを作り出す技術です。
中が空洞の石膏型(鋳型)に、溶解した金属を注入して鋳造し、さらに、ゴム型を使って同じフォルムをいくつも作ることが可能になります。
一点もののジュエリーや同じフォルムをいくつも成形するような場合に用いられるものです。
キューレット
カットされたダイヤモンドの先端で、時には研磨され、やや平たくなった部分をいいます。
クラウン
ファセット面のあるカットの宝石で、ガードルよりも上部にある部分をいいます。
クロス
文字通り、もともとはイエス・キリストが磔になった十字架を宗教的な意味合いで身に着けていたものが、日本ではデザインとしてのモチーフで用いられるようになっています。
原石
採掘時に母岩などが付いた、カットなどしていない原形のままの状態のことを指します。
硬度
モース硬度
ふたつの違う石を擦り合わせて、どちらに傷がつくかということで判断します。最も硬い基準を「10」とし、最も柔らかいものを「1」としています。
硬度10はダイヤモンドで、硬度1は滑石(かっせき)です。ちなみに人間の爪の硬度は2.5程度とされています。
※新モース硬度というのもあり、この場合は15段階の基準です。
ヌープ硬度
これは、より科学的な硬度表記を可能にしたもので、鋭利なダイヤモンドを石に当て、どの程度の跡がついたかで硬度を決め、工業用や加工技術で用いられます。
靭性
これは、破壊行為に対しての亀裂の進展の早さになります。いったん、大きな力を加えると粉々になるか、破壊されても粘り強いかです。
参考基準
ダイヤモンド・10 | ルビー・9 | サファイア・9 | キャッツアイ・8.5 | アレキサンドライト・8.5 | トパーズ・8 | スピネル・8 |
エメラルド・7 | ガーネット・7 | アクアマリン・7 | 水晶・7 | トルマリン・7 | 翡翠・7 | ペリドット・6.5 |
ヘマタイト・6.5 | トルコ石・6 | ラピスラズリ・6 | オパール・5.5 | 黒曜石・5 | ホタル石・4 | マラカイト・4 |
珊瑚・3.5 | 真珠・3.5 | 大理石・3 | 琥珀・2 | 滑石・1 | ||
刻印
指輪その他の宝飾品に地金の金位や宝石のカラットなどを彫り込んでおくことを指します。
K18・18K・750
K14・14K・585
純金(24金)が100%とすれば18金は75%(750)、14金は58.5%(585)
YG(イエローゴールド)
WG(ホワイトゴールド)
PG(ピンクゴールド・ローズゴールド)
Pt900・pt850・Pm(プラチナ900・プラチナ850)
925(92.5%)・950(95%)・STERLING・SV (シルバー)
石目(いしめ) ストーンのおもさを(カラット表示は省く)指輪の裏側に打刻(例・1.00 3.27 など)
五大宝石
ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドとアレキサンドライトもしくはひすいや真珠をもって5つの高級宝石と言います。
宝石は洋の東西によって価値観の違いがありますので、5つ目の宝石は普遍的、絶対的な定義はではありません。
ゴシック様式
13世紀にヨーロッパ全土に広まった様式で、教会建築が主で、尖頭アーチや飛梁、ステンドグラスのバラ窓などを特徴とし、19世紀中頃から、ジュエリーのデザインに応用されています。
コンク真珠
西インド諸島で産出するピンク貝から採れるピンク〜白色の真珠です。
金剛石(日本名)
ダイヤモンド
サ行
ジェット
流木が化石化した黒色素材です。モーニングジュエリーとして広く用いられます。
シェル・カメオ
貝殻に彫ったカメオのことで、ヘルメット貝やコンク貝が多く用いられていて、貝の白い部分が浮き彫りの絵柄になり、褐色(または黒色)やピンクの層がベースとなるものが多く、もともとはイタリアの特産品として知られ、19世紀の中ごろにイギリスに持ち込まれました。
充填(じゅうてん)
内包などのキズの反射光を抑えて目立たなくします。石本来の色は損なわれず、キズ周辺の白いムラだけが見えなくなります。
処理石
何らかの方法で人工的に宝石の外観を変えたもの。
加熱処理や無色の樹脂、オイルなどで含浸させたもの(ルビーにサファイアやエメラルド等)や染色などの化学的処理や、放射線で着色処理したものはトリートメント(改変)があります。
真鍮
真鍮は、銅と亜鉛の合金で、銅よりも硬い素材です。
比較的、融点が低いため、加熱しすぎると解けやすい性質があります。
スカラベ
オオタマオシコガネという甲虫です。古代エジプトでは不死の象徴として神聖視され、創造と復活のシンボルとして崇拝されました。
19世紀末から20世紀初めにかけて、考古学的発見の中でエジプト趣味が高まり、新しい形の宝飾品としてスカラベのジュエリーが作られました。
ストーン・カメオ
各種の宝石に彫ったカメオの総称です。ふたつ以上の色層をもったサードオニクスやアゲートなどがよく用いられます。ハードストーンカメオともいいます。
正8面体
ダイヤモンド原石の最も古典的な形状をいいます。正三角形の面を8面持ち、三角形の3辺は中心から等距離にある結晶軸3本とそれぞれに接します。
タ行
ダブレット・トリプレット
天然、合成にかかわらず2〜3種の部分で、人工的に張り合わせたものをいいます。オパールが一般的です。
地金ジュエリー
プラチナ、金、ホワイト・ゴールド、銀などの金属だけでつくった宝飾品で、ネックレス、イヤリング、指輪などがあります。
着色ダイヤモンド
放射線照射によって人工的に着色したダイヤモンドで、黄色、褐色、緑色、青色、ピンク、赤など各色の着色ダイヤモンドがあります。
ティアラ
宮中晩餐会などに用いた頭につけるジュエリーです。1920年ころまでは貴族の正装のジュエリーとして盛んに用いられました。
テンパー(ダイヤモンド)
これは10個で1カラット、つまり10個石を意味します。
ドッグネックレス
首そのものを垂直に立ち上げる形式で覆うネックレスのことです。真珠やダイヤモンドを用いた複数の連から成るものが多いです。
ナ行
南洋真珠
シロチョウ真珠およびクロチョウ真珠の両方をいいます。
ナチュラル
人工的な着色がないものをいいます。宝石によっては、意味合いの異なる場合があります。
ハ行
バゲットカット
長方形のシンプルなイメージのカット。長方形で透き通る美しさを発しています。
このカットはよく脇石(取り巻き石)として使われる形で、棒を意味するフランス語に由来します。
大きさや長さで少ずつ表情が違うものがあります。
パヴェ
パヴェとはフランス語で「石畳み」を意味します。
アームの部分に小粒ダイヤをしきつめたセッティングです。繊細でありながら、存在感があって人気のあるデザインで、爪ではなく地金を寄せて留めていて、このように小さな石を隙間なく並べてセットする技法をバヴェ(pave)といいます。
バロック真珠
語源はポルトガル語の「barrocode」で、ゆがんだ形の真珠の意味です。ルネッサンスの頃のジュエリーに多用されています。海水、淡水のどちらからも産出します。
ピース
英語の piece からきた言葉で、宝石1個のことです。
表面拡散処理(ベリリウム)
この加熱方法は、添加物であるクリソベリル起源のベリリウムを高温下でコランダム中に拡散させるというもので、ベリリウム拡散加熱処理と呼ばれるようになりました。
これは宝石業界でも問題とされ、価値に大きな差がでる場合があります。
ファセット・カット
ファセットとは、フランス語で「小さな面」を意味します。
ファセットカットは、主に透明度のある宝石に用いられて、輝きを際立たせたり、色を明るくしたり、光沢を強調して光の反射を活かすためのカット手法です。
さまざまなカットの総称としても用いられています。
ファンシー・カット
ラウンド・ブリリアント・カット以外のカット形式のものをすべてファンシーカットと呼びます。マーキーズ、エメラルド、ハートなどさまざまなカットの総称としても使います。
ファンシー・カラー
ダイヤモンドのなかには魅力的な色調をもったものがあり、ファンシー・ダイヤモンドと呼ばれている。ダイヤモンドの色としてはブルー、イエロー、オレンジ、グリーン、ブラウン、ピンクなどがあり、放射線処理によって人工的に着色したものも含みます。
ブリリアント・カット
ダイヤモンドのカット形式の1つで合計58面体あります。このカット形式はダイヤモンドの光の効果を最高に引き出すといわれていて、ラウンド・カット以外にオーバル、マーキズ、ペアー、ハート・シェープ・カットなどのファンシー・カットもあります。
ブリオレット
丸みを帯びて、全体的に三角のファセットで覆われたドロップ型の宝石をいいます。現在はあまりないもので、特注でペンダントやピアスにします。
フルエタニティ
一文字に似ていますが、一文字と違って石枠のみをつなげたようなデザインで、リングに直接宝石類、主としてダイヤモンドをセッティングした指輪のことをいいます。チャーム・リングとも呼ばれます。
ヘアジュエリー
イギリスのビクトリア期の1840年代から50年代に大流行した死者の髪などを用いたジュエリーです。ブローチなどの一部に透明な板をはめ込んで、その中に遺髪を巻いて並べたものなどがあります。
ベル・エポック
19世紀末から1901年頃まで、パリを中心として退廃的な香りのする芸術、ファッションが流行します。
これは、フランスの歴史のなかで最も華やかな時代に当たるため、このように呼びます。
ジュエリーでも、プラチナとダイヤモンドを多用した豪華なジュエリーが作られました。
マ行
マザーオブパール
真珠の母貝のことで、アコヤ貝、シロチョウ貝、クロチョウ貝などの総称です。それらの貝殻を色調や半透明感から、加工してジュエリーに用いています。
ミステリーセッティング
インヴィジブルセッティングともいいます。宝石をパヴェセッティングする際に、石留めの爪を表面にまったく見せずにセットする方法で、石の側面に溝を彫り、そこにサイド枠をはめ込んで留める技術は非常に高度で困難な手法です。
メレ
ピースあたり0.1カラット以下の小粒なダイヤモンド(主にブリリアントカット)をいいます。
ヤ行
遊色効果
複数の色が出ているものをいいます。オパールによく使います。
ラ・ワ行
ローズカット
ダイヤモンド原石の山状に盛りあがったところにファセットを施した古いダイヤモンドのカット方法です。
インドが起源らしく、ヨーロッパには1520年以降に伝わり、17世紀にオランダで完成したといわれています。ローズカットにはコモンローズカット、ハーフオランダ(ダッチ)ローズカットなど数種類あります。
ロケット
ふたのついた小型の容器状のジュエリーで通常は、ペンダントにして用いられます。中には写真や毛髪など大切なものを収めます。
ロマンチシズム
1820年代以降に流行します。
個人的な感情をストレートに出した表現を特徴とし、ジュエリーでは、文字遊びや花言葉、喪を表すデザインのものが中心です。
ルース
枠にセットまたはマウントしていない宝石のままの状態を指します、裸石です。