グラフ イエローダイヤモンドの魔術師
創業
1962年にローレンス・グラフがロンドンで創業したダイヤモンド宝石店で、製品や話題性でも現在の世界では屈指の存在です。
彼は、独学で宝石ジュエリーの世界を切り開いていったことから稀有の存在であり、また、グラフの成功にはアジアが大いに関係しています。
きっかけ
グラフは、60年代後半にシンガポールに進出して、地域の富裕層、いわゆるインドネシアやブルネイ、フィリピンなどの富豪たちとの取引に成功したところから始まり、この頃からグラフのダイヤモンド宝石哲学の特徴が顕著になっていきます。
しかしながら、グラフはただ売れるダイヤモンドジュエリーを作るという姿勢とは一味違って、小さくても極上で上質なものだけを作るというポリシーであり、このあたりが極めて疑い深くて、難しい超富裕層にグラフが入り込めたポイントではないかと思われます。
超富裕層の彼らは気まぐれであり猜疑心が強く、一度でも気に入らなければそれで終りなのです。
躍進
70年代に入ると、グラフはサウジアラビアの王族など中東の石油王たちを新しく顧客にしていくようになり、インドやブラジルから渡来して、伝説になっているようなダイヤモンドを買い集めて、自らの手で製品にすることで話題性もあったのでグラフのブランドを高めるのに大いに役に立つことになります。
さらに、1998年に南アフリカのDTCサイトホルダーの株を大幅に取得したことで、その名を世界に知らしめることになり、要するに南アフリカで算出する殆どの正規ダイヤモンドを手中に収めたことになりました。
妥協しないポリシー
グラフは世の中のお金の流れに敏感に対応する宝石店で、中東のオイルマネーが衰えると、2000年にはアメリカへの進出を果たしています。
グラフの製品として脈々と流れているのは、まったく金銭的な妥協をしないというポリシーで、安易に成功した宝石店がやるような、安価なジュエリーをラインナップするようなことは一切やらないのです。
だからこれだけ店舗が増えた今でも、グラフのジュエリーは高価なイエローダイヤモンドを中心として、いずれも最高級のルビー、サファイア、エメラルドが加わったものだけです。
それは、宝石ジュエリーを一種の資産や上質な宝物として考える人たちのみの宝石店なのかもしれません。
賛辞
グラフの生み出す製品は、研ぎ澄まされた芸術の域に達しているようであり、ニューヨーク・マジソン街のグラフのお店のウインドウに飾られているイエローダイヤモンドの指輪やネックレスを見るたびに、時空を超えた美しさに引き寄せられていくようです。
そして、美しいダイヤモンドをこれほどまでに美しくできるグラフの魅力があり、そこには別世界のジュエリーが並んでいますので、お店には、一般のひとには手が届きそうなジュエリーはおいてなく、お店に入り製品を見るだけでも勇気が必要かもしれません。
しかし、何千万のダイヤモンドを丁寧に説明してくれるので、マナーを携えて見学に行ってみる価値は大いにあると思います。