腫れた顔
直美は憂鬱な朝を迎えます。
体にあちこち痛みがあって、一昨日までの楽しい日々が嘘のように思えてきて、鏡を見ると顔も腫れ上がっていてお化粧をする気にもなれません。
でも、今日は日用品の買い物だけはしておかなければならないので、とりあえず大ぶりのネックレスをしてから帽子とマスクでカモフラージュしてから玄関に向かいました。
靴を履くにも体全体に変な痛みが走るのですが、しかたありません。
そして、外に出て歩いていると、
「あらっ、どうしたのその顔?」
と、近所のおしゃべり仲間の沙保里に見つかってしまいます。
「うん、ちょっとね」
「DV?それにしてもひどい顔ね、誰かに殴られたみたい」
「そうなの・・」
「すぐにお医者さんに行ったほうがいいんじゃない」
「うん、そうね」
「何でそんなことになったの?」
「主人が・・」
「あれっ、ご主人は海外出張中だったんでしょ」
「ええ、私もそう思っていたもんだから・・」