宝石物語 日常のストーリー


恋人への気遣い

 

付き合って間もないカップルがデートの帰りに電車に乗っています。

 

彼の降りる駅は彼女より手前ですが、ふたりは時間を惜しむようにピッタリと寄り添って座っています。

 

宝石物語

彼女は指輪を見つめていて、それは、ふたりで食事をしているときに彼からプレゼントされたものです。

 

その指輪は、一目見ただけで彼女にとって一番のお気に入りになりました。

 

ところが、彼女は何かの拍子に”ブーッ”とオナラをしてしまいました。

 

その音は、椅子に振動が伝わるような低い音となって彼に響いてきて、周りにも明らかに聞こえるほどの音です。

 

そこで彼はすかさず、

 

「すいません、今のは僕です、我慢できなくて、ごめんなさい」

 

彼女はただ黙ってうつむいているだけです。

 

もうじき彼の降りる駅なのですが、気まずさもあってふたりは黙ったままですが、彼は正義感が強く、彼女の気持ちをできるだけ安心させてあげたいと思っています。

 

そして、まもなく彼の降りる駅が近づいてきたので椅子から立ち上がると同時に、

 

「すいません、もし彼女がまたオナラをしたら僕がしたと思ってください!」

 

と、言い残して立ち去りました。

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