宝石物語 日常のストーリー


天使の助け舟

 

宝石物語

愛美、茜、千尋の三人は同級生でちょっと遠出のドライブしています。

 

「その、ピアスどこで買ったの?」

 

「これ、この前、誕生日だったからプレゼントなの」

 

「いい感じじゃない、私もほしいなぁ」

 

「あなたはお金持ちなんだからいつでも買えるじゃない」

 

「あら、やっぱりプレゼントされるのがいいわよ」

 

「相手はどうなの?」

 

久しぶりに会った三人は近況のことや思い出話をしているうちに、いつのまにか山間部の深い谷のあたりまで来てしまっていました。

 

「暗くなってきたね、雨が降ってきたから走りにくくない?」

 

と愛美がドライバーの千尋を気遣います。

 

「そうなの、道路も水溜りになってきてハンドル取られるような感じがするし、すごく疲れるの」

 

と、千尋が答えます。

 

「ねえ、どこかで休んでいこうよ、もう暗くなってきたから、すぐ夜になっちゃうよ」

 

茜が提案します。

 

しかし、山間なのでしばらく進んでも車を止められるようなお店はなかなか見つかりません。

 

さらに、雨は大粒になってきて前方の視界が雨で霞むようになり、みんな心細くなったのか誰も話そうとはしなくなって、車内は激しい雨音だけが響いています。

 

と、その時に対向車線から突然トラックが飛び出してきて、

 

「あぶない!!」

 

みんな同時に叫んだかと思うと、千尋はトラックを避けようと慌ててハンドルを左に切ります。

 

しかし、車はそのままガードレールを突き破り谷底に落ちていきます。

 

と、ちょうどその時に舟に乗った天使が現れて、

 

「今から私の質問に答えたらこの舟に乗せてあげます」

 

と救いの手を差し伸べます。

 

最初に天使は千尋に向かって、

 

「日本の一番北側にある都道府県はどこですか?」

 

と質問して、

 

「北海道です」

 

と、千尋は答えて舟に乗ることができました。

 

次に愛美に向かって、

 

「日本の一番南側にある都道府県はどこですか?」

 

「沖縄県です」

 

と、愛美は答えて舟に乗ることができました。

 

そして、茜に向かって、

 

「宇宙を数式で表すと?」

 

と、天使が質問します。

 

茜は、

 

「それは、もう空いている席がないということですか?」

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