エメラルド アクアマリン モルガナイト 宝石ベリルの種類
エメラルドを初めとして、アクアマリン、モルガナイト、ヘリオドール、ゴッシェナイト、ビクスバイト、グリーンベリルが属する、文字通り宝の石が集まっているベリル種です。
エメラルド
エメラルドの魅惑的な緑色は、その時代の権力者たちを、ひきつけてきた歴史のある宝石で、その頂点に君臨するエメラルドは、クレオパトラが所有したエジプトの鉱山の存在を世界中に知らしめました。
英語のEmeraldは、サンスクリット語で「緑の石」を意味する「スマラカタ」に由来し、それが、俗語で「スマラルダス」と変化してきて、古代フランス語になって「エスメラルド」に変化して現在のエメラルドになります。
その美しいグリーンはクロムやバナジウムを帯びていて、産地として南米はエメラルドの産地として有名で、13世紀に成立して16世紀に滅んだインカ帝国でも、エメラルドは装飾に多用されていました。
当時のインカ帝国のエピソードとして、首飾りやペンダントなど装身具はもちろんのこと、信仰の対象である神殿はエメラルドで埋め尽くされていたということで、言い伝えによれば、ダチョウの卵ほどのエメラルドが女神の象徴として崇拝されていたとか。
それを、インカ帝国に浸入したスペイン軍は、当然その巨大なエメラルドを探しましたが、ついに発見できず、そのエメラルドは現在に至るまで行方知れずのままインカ帝国とともに姿を消してしまったといわれています。
エメラルドの産地
現在、エメラルドの産地として名高いのはコロンビア、ブラジル、ロシアなどで、コロンビアでは堆積岩(たいせきがん)のなかを熱水脈が走っていて、底に溶け込んだ成分が結晶となりエメラルドを形成します。
エメラルドの結晶は、内部にキズがあったり、異物を含むものが多くあり、異物は天然石の証拠ともいえますが、キズやヒビは耐久性や見た目の問題になるために、宝石として流通しているほとんどのエメラルドはオイルや樹脂をしみ込ませる人為的な処理を受けたものになっています。
そのほかの産地はザンビア、ジンバブエ、オーストラリア、インド、パキスタン、南アフリカ、アメリカです。
アクアマリン
アクアマリンの色は、スカイブルー、ダークブルーなどで、最上級は、サンタマリアと呼ばれ色は濃くて明るいブルーで、青が鮮やかで透明度が高く、結晶が大きい最高品質の石が産出されるのはブラジルとモザンビークです。
アクアマリンは二色性を示し、見る角度によって色の濃さが異なるので、カットする際はサイズを確保することより、もっとも色が美しく見える角度を見つけることが重視され、よく使われるカット法は、青を強調することのできるエメラルドカット(ステップカット)です。
エメラルドと比較するとクラリティ(透明度)がかなり高く、ある程度の大きさがありながら不純物を含まない石もかなりあり、インクルージョンや割れが少ないため耐久性に優れて、カボションカットでは、キャッツアイ効果が生まれることがあります。
アクアマリンの産地
ブラジル、モザンビーク、アフガニスタン、ナイジェリア、マダガスカル
モルガナイト
名前の由来は、宝石コレクターでもあったアメリカ人の銀行家のP・J・モルガンに因みます。
モルガナイトの多くはピーチのような柔らかいピンク色で、最初にこの石が発見された場所は、カリフォルニアにあるトルマリンの鉱山でした。
石の色はペールピンクから始まり、ローズピンク、ピーチ、アプリコット、サーモンピンク、そして、バイオレットで、アクアマリンやエメラルドと同様に二色性があり、角度によって色の濃さが違って見えて、また、とてもめずらしいもので、ひとつの結晶中にピンクのモルガナイトとブルーのアクアマリンが共存することもあります。
モルガナイトの産地
マダガスカル、ブラジル、モザンビーク、ナミビア、パキスタン、ジンバブエ
ヘリオドール
ヘリオドールは黄緑色で、古代文明では色合いから太陽を連想させたため、「helio」(太陽を意味する言葉)から名前が与えられました。
色は淡いレモンイエローから黄緑をへて、深みのあるウオームゴールドまであり、細長いチューブ状のインクルージョンが見られることがあり、カボションカットにすると、一部にキャッツアイ効果が生まれます。
ヘリオドールの産地
ロシア、ブラジル、マダガスカル、ナミビア、アメリカ
ゴッシェナイト
ゴッシェナイトは、色の成分を含まない無色のベリルで、結晶中には針状インクルージョンが見られることがあり、ファセットカット(表面全体にカットをつける)は美しく輝いて、ホワイトトパーズやホワイトサファイアに間違われることがあって、ダイヤモンドの代替品としても利用できます。
ゴッシェナイトの産地
ブラジル、カナダ、ロシア、アメリカ
ビクスバイト(レッドベリル)
ベリルのなかでは、とてもめずらしい種類の石で、宝石品質の結晶はほとんどがごく小さく、カット石の大半は1カラットに満たないものが多く、大き目の石も存在しますがインクルージョンがかなり多くなり、また、ビクスバイトは入手が困難で、価格も非常に高くなります。
ビクスバイトの産地
アメリカ
グリーンベリル
グリーンベリルのほとんどが、高温で熱処理され、青いアクアマリンに作り変えられて、エメラルドと同じグリーンベリルは、同じ緑色でも着色成分によって分けられています。
グリーンベリルの産地
エメラルド参照