ジュエリーの修理や簡単なお直し メンテナンスについて
こんなことを知っていたら役に立つかもを解説しています。
リングサイズのお直しや修理、リフォームはどのようにしたら良いか、事前に具体的なイメージを持つことができれば依頼するときにあなたの考えを正確に伝えることができますので、修理後の日々のメンテナンスにもお役に立つことができます。
さらに、大切なジュエリーを納得のいく方法であなたの思いを形にすることができれば修理をするときのカスタマイズの範囲が広がって、より満足感のたかいジュエリーを手に入れることができると思います。
これからのさらにすてきなジュエリーライフのために。
チェーンネックレスの切れの修理
チェーンネックレスの種類の中で、ベネチアンの修理はロウ付けできない、ボールチェーンもむずかしい、切れたところを熱を使用した溶接によってくっつけますので、どうしても接着するための玉の部分ができてしまうのです。
指輪はその部分がリングのつなぎ目に入りますが、ネックレスなど細いものについては隠れるところがないので目立ってしまいます。
代用の方法として、マルカンでつなぎ合せてロウ付けしてもバランスが失われないようなところなら良いでしょう。
用は、1ミリ以上はある溶接玉をどこに隠せるか、見た感じがおかしくないかで判断します。
指輪のサイズ直し
ロウ目(つなぎ目)の仕上がりは職人によって差が出るところです。
ホワイトゴールドの場合などはお使いになっているうちにロジウムが剥がれてきますので顕著にテクニックの差がでやすいところです。
下の項でロウ付けについて解説しています。
新品仕上げ
コキズやクスミが目に付くようになったら新品仕上げをします。
方法はバフ(グラインダーのような高速回転で薄く削る)を掛けながら研磨剤を当てて地金部分を磨いていき、極薄く地金を削り取ります。一皮剥くようなイメージです。
サイズ変更した部分やお直しなどのロウ付け部分も最終的にバフで滑らかになるように研磨します。
これは無垢(中まで同じ素材)なのでできることです。
長い間お使いになっているような愛着のあるものは地金部分が細かいキズなどで艶がなくなっていきます。
それが新品のようにきらきらリフレッシュしてお手元に戻ったら、とてもすてきなサプライズが得られるでしょう。
お手ごろで一番お勧めのリフォーム方法です。
数をこなす職人は、年に一度くらい研磨して残ったバフ周りの粉を集めて地金部分だけを選り分けると地金が結構な金額になる方もいるようです。
腕もいいのでそれだけこなすのでしょうから、さしずめ臨時ボーナスですね。
そして、金などのメッキ(GP.GF)はこの工程ができません。
文字通りメッキなので一皮剥くと真鍮(しんちゅう)などの素材の色が見えてしまいます。
デザインの変更(リフォーム・リメイク)や修理
リフォーム、リ・ジュエリーは、デザインの古くなった婚約指輪やカラーストーンペンダントなどをメインのストーンを取り出して、新たな枠に装着するケースが一般的な方法です。
また、指輪の場合は枠ごと残してバチカンをつけてペンダントにしたりその反対もします。
ストーンのみ取り出す場合は、合う枠(取り巻きのメレダイヤなども含む)を探して装着します。ポイントは”そのストーンに合う枠を探すこと”です。
ピアスのポストなどのゆがみや金属疲労の修理
ピアスのポストはきゃしゃで曲がりやすいものです。曲がった部分を元に戻すこともできますが、地金内部が金属疲労を起こして柔らかくなり折れやすくなりますのでポストごと交換するのがベストです。
ピアスのポストはチェーンネックレスなどの引き輪に次いで修理の依頼が多いパーツです。
また、指輪のリング部分のゆがみはサイズ棒を使い、強く押し込んで矯正して、ある程度直せます。
リング部分の交換や地金の調整費用を考えるならば、有効な方法になります。
刻印
宝石の「K18」というのは主に日本が使い始めて、海外でも一般的になっているもので、ヨーロッパや北米は「750」が主流です。
同じように日本で「K14」はヨーロッパや北米は「585」です。
ただし、一般的な慣習であり、統一されているわけではないので製造者によって違いがあって「18K」などもあります。
数字の根拠は、純金(24金)が100%とすれば
18金は75%(750)、
14金は58.5%(585)です。
また、9金は「375」(37.5%)になります。
さらに、日本を含めて各国の造幣局など国の機関の刻印があり、これは数字だったり、なにやらの小さなマークだけあったりしますので、一般にはわからない方も多いです。
ただし、これは意外としっかりした金性のものであったりします。
そしてプラチナは、純プラチナを100%として、Pt900は90%、Pt850は85%です。
古いものは「Pm」や「Pt」(一般的に85%換算)とだけ打っていたり、ティファニー&Co.はプラチナを「PLAT]と刻印しているものもあります。
地金(金性)の確認
海外での購入や、まれに国内でも金性の怪しいものがあります。
たとえば18金は純金が75%で残りの25%をその他の金属(パラジウム、銀、胴など)を混ぜますが、一部の輩が製造工程で純金の割合を60%や50%・・・にしてしまうというものです。
経験のある事業者ならば色の違いや重さで判断できる場合がありますが、ホワイトゴールドはロジウムメッキを掛けますので、さらに難しくなります。
また、そういう輩は型枠を利用しますので、コストを下げるために同じものが大量に出回る場合があり、慣れた事業者はデザイン自体で怪しいという判断もできます。
ホワイトゴールドは、製造過程で25%をシルバーなど白い金属を混ぜても本来は薄いイエロー色です。
ホワイト色を出すためにロジウムメッキで仕上げをしますので、お使いになっていると徐々にロジウムが剥がれてきて、くすんだイエローになり、パッと見た印象は良くない場合があります。
買い取り交渉などで印象が良くないときは、ちゃんと主張しましょう。
そして、古いものでは「18K」という刻印はあまり信用されないようですので注意が必要かもしれません。
反対に、18金(75%)でも残りの25%に混ぜる*金属の種類によってイエローゴールドの色が異なりますので見間違うこともありますが、それはちゃんとした18金であったりします。
*その他の金属の割合
基本はイエローゴールドは銀を多く、ホワイトゴールドはパラジウムを入れたり、ピンクゴールドは銅が多めになります。
ただし、製造者によってはオリジナルの個性を出すために、イエローゴールドのイエロー色を明るくしたり、ピンクゴールドをよりピンクになるよう、混ぜる金属を工夫して製作する場合もあります。
ダイヤなどの緩み・石留めの修理やお直し
石の緩みがあるときは爪の調整で直る場合があります。
ただし、爪部分も小さいパーツですので、いったん動かしたりすると金属疲労が起こってもろくなります。
宝石なので、ちゃんと直すならば爪の交換をする方法がよいでしょう。
その場合は留めているストーンをはずして、新たに爪を製作して取り付けます。
オールナット(ナイロン糸)
真珠など、ピースごとに結び玉を作って、真珠同士の干渉を防いだり、デザインに利用したり、万一切れた場合にバラバラにならないようにします。
お使いになっていると糸が伸びて隙間が開いたり切れる場合があります。
サイドナット(ナイロン糸)
クラスプなどの留め金部分から両サイド3ピース分位を結び玉にします。
一般に留め金部分周囲は切れやすいためにバラバラに拡散しないようにします。
お使いになっていると糸が伸びて隙間が開いたり切れる場合があります。
ワイヤー(ステンレス)
真珠など幅広く使われていて、とても丈夫で伸びたりすることはほとんどなく耐久性もあります。
細いものはブラックダイヤなどの繊細なネックレスに、太いものは、あこや真珠やカラーストーンに、さらにロングで重量のあるものにもステンレスワイヤーを使います。
大きなストーンの場合はカーブしたときにストーンとストーンの隙間からワイヤーが見えてしまいますので、関節の装飾やシリコンをいれたりしてワイヤーが見えないように工夫します。
チェーンネックレスなどの引き輪の修理やお直し
ジュエリー宝石のパーツで一番壊れやすいところです。
原因は中にあるスプリングの不具合や摘み部分周囲の変形です。
チョーカーの糸切れ
ストーン幅が15mm以上などの比較的大きなものは、たこ糸や裁縫で使うような糸を代用できる場合があります。
ロウ付け
指輪のサイズ変更・マルカンの口閉じ・その他
一般的に使う銀ロウには溶ける温度の違いで種類があります。おおまかに言うと、3分ロウが高温で地金が赤くなるまで溶けません。さらに5分、7分、早ロウという具合に溶けやすくなっていきます。
複合的なロウ付けが必要なときは用途に合わせて使い分けて、バーナーで熱して融点の違いを利用してくっつけていきます。
使うロウやロウ付け技術で腕の良し悪しに差がでるところです。
※フラックス
ロウ付けを行う場所に酸化膜ができるのを防ぎ銀ロウを流れやすくするために塗ります。