スピネル 色彩の宝石
美しさや希少性に価格の妥当性、それらの要素からスピネルはジュエリーとして、とても人気のある宝石ですが知名度や市場の流通量は高くないのです。
以前は、ルビセルとも呼ばれて、色は多様なものがあるため、1783年に鉱物としてスピネルが認識されるまではコランダム種であり、ルビーの一種と考えられていました。
スピネルは、ルビーやサファイアと同じ鉱山で発見されるうえに、レッドスピネルはミャンマー産やタイ産のルビーに似ていて、ルビーと同じような蛍光性も発するのです。
さらに、スピネルは丈夫な宝石であり、長い間、指輪などにセッティングして使用していても、カット面の縁が削れにくく、優れたプロポーションのファセットカットのものは、ダイヤモンドのような輝きと照りを示すことがあります。
イギリスの王冠として
スピネルがとくに有名なのは、イギリスの戴冠式の時に使用される王冠にはめ込まれている「黒太子のルビー」と呼ばれるスピネルがありますが、これは、長年ルビーと信じられていたもので、それくらい似ていたのです。
スピネルの特徴
現在でも、ルビーなどと色合いが似ているものは、カット面や内包などで比較できる場合を除いて、見極めはむずかしく、分析(鑑定期間の科学的分析)を必要とする場合があります。
硬度は、コランダムが9に対してスピネルは8で、色は赤、青、オレンジ、グリーンなどがあり、さらに、それらを混ぜ合わせたような色合いもあります。
また、コランダムなど、ほかの宝石と違い、熱処理や放射線照射によって色を改善することはほとんどない宝石ですのでナチュラルであり、非処理石ですので重要なセールスポイントになります。
典型的なインクルージョンには、スピネルならではの8面体の小さな結晶やルチルの針状結晶にヘイロー状(光の輪)の結晶があります。
また、5カラット以上のスピネルはきわめて少なく、流通量が少ないのも知名度が低い原因のひとつでしょう。
そして、スピネルは丈夫で、長年使用しても縁が削れにくいので、ファセットカットに適しています。
価格
高価な赤色を内包するオレンジ色を別にすれば、価格はアクアマリンやトルマリンと同じような推移で、大粒のものは数が少なく、高価になり、これから流通量が増えて知名度が上がるにつれて、全体的に市場価格もあがる可能性があります。
産地
カンボジア、ミャンマー、スリランカが重要な産地です。
ほかにはマダガスカル、タンザニア、ナイジェリア、アフガニスタン、パキスタン、タイ、ブラジル、ロシア