宝石物語 日常のストーリー


夫が浮気をしているんじゃないかしら


成美は最近の夫の様子がどうもおかしいと疑っています。


そんな成美は、実家の母親の面倒をみるためにしばらく家を空ける事になったので、試しに休日に家に電話をしてみることにしたのです。


そうしたら何と女が電話に出て、


「はい」


成美は怒った口調で、


「あなたはどなたなの?」


「私はお手伝いのものです」


「ええー?うちはお手伝いなんて頼んでいませんよ」


「はい、でも私は昨日入ったばかりなので詳しいことは分からないのですが」


「冗談じゃないわ、すぐに電話を主人に代わって」


「はい、でもご主人は今、寝室にいらっしゃいます、奥様とご紹介いただいた方と・・」


成美の感情は爆発寸前です。


「あなたのお名前は何ておっしゃるの?」


「私は祐子と申します」


宝石物語

「そう、祐子さん、現金10万円と夫からもらった指輪を差し上げるからアルバイトしない?」


「どんなアルバイトなんですか?」


「簡単よ、まずお風呂場へ行って、バケツに水をいっぱい入れて寝室にいるふたりに思いっきりかけてきて」


「いいんですか?」


「いいわ、私が責任取るから」


と、お手伝いの祐子はどうしようか考えましたが、成美の勢いにつられてバケツに水をいっぱいに汲んで寝室のふたりにかけにいくことにします。


それは、電話口でも悲鳴が聞こえるくらいの騒動になっています。


「今、水をかけてきました」


「ありがとう、それじゃあ、あなたは裏口から外に出て左に曲がると私のお友達の浜田さんというお宅があるからそこに行って、また連絡するから」


「でも、ここはマンションの最上階ですので裏口はないんですが」


「・・・・・」


そして、成美は声を震わしながら、


「そちらのお宅は藤本という名前じゃなかったの?」

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