アールデコ ファッション模様 デザインの分岐点


アールデコ ファッション デザイン模様

 

アールデコ ファッション デザイン模様

アールデコ デザイン模様

アールデコとは1925年にパリで開かれた現代産業装飾美術博覧会からとられた名称で、ファッションモードの革新やモダンジュエリーを生み出し、パリの宝石商などはアールデコ・スタイルという新しいデザインや模様の流行を確立していく時代です。

 

それは、1910年代から30年代のファッションや建築のほか、さまざまなデザインや模様に美術表現に共通にみられる新しい造形傾向のことを指していて、モダニズム絵画の影響を受けた細部の省略や幾何学的なモチーフ、およびその反復、コントラストの強い色彩などが表現上の特徴です。

 

機械生産に対する肯定的な姿勢も特徴で、芸術と産業が結合したデザインスタイルで、モードとの結びつきも強く、平面的なデザインドレスやラメ、スパングルなどのファッションによる黒と金銀の組み合わせなどの模様が流行しました。

 

日本では

大正12年9月に関東大震災が起こり、都心部のほとんどが壊滅状態となって、その復興に伴い、東京は江戸の風情を残す街並みは一掃され、モダンなファションやデザイン性のある鉄筋コンクリートの建物が並ぶ都市風景が広がることになります。

 

アールデコ ファッション デザイン模様

この時期に斬新さで目をひいたのは商業ビルで、特に百貨店は競うようにアール・デコの装飾デザイン模様を取り入れた大型の新店舗を開店させています。

 

そして、この時期のファッションデザインに欠かせない特徴的なアイテムに、ウエストよりも下に来るような長く、しばしば幾重にもかさねて使われた、真珠のロープやロング・ロープのような長いネックレスがあります。

 

それまで、たいへんに高価であった真珠がこのようにふんだんに使われるようになった背景には、日本からの養殖真珠の大量供給があります。

 

また、この真珠の長いネックレスのファッションの流行を受けて、山梨県甲府で加工された水晶のデザインネックレスも同様に人気がありました。

 

アールデコ・デザインジュエリー

アールデコ ファッション デザイン模様

アールデコのデザインジュエリーの特徴は、大胆で色の対比が鮮やかな模様で、オリジナリティにあふれて、茶目っ気のある陽気なデザインです。

 

そして、19世紀末から宝飾品に使われ始めたプラチナと貴石や当時流行のサンゴ、ヒスイ、オニキスにラピスラズリなどと組み合わせたデザインが用いられるようになります。

 

また、この時代に人気が高まったのは、ココ・シャネルやエルザ・スキャパレリなどの有名ファッションデザイナーの手によるファンシー・ジュエリーで、つまり、本物の石を使わずにデザインや模様のみが売り物のジュエリーが流行したのです。

 

たとえば、ファッション的にも現代に通ずるドッグチェーンや人造ダイヤのイヤリングにプラスティックのコミカルなブレスレットなどで、今日のフェイクジュエリーの先駆けです。

 

アールデコ ファッション デザイン模様

一方で、アールデコのデザイン模様は宝石と貴金属を使った高級なジュエリーにも大きな影響を与えていて、その影響は指輪やブローチのほかに着物に使われる帯留めにも及んでいて、その最大の特徴は宝石デザインの使い方にあります。

 

例えば宝石のセッティングとしては、エメラルドあるいはサファイアを並べてカリブル留め(レール留め)にして、ダイヤモンドとの色彩のコントラストを強調していて、ダイヤモンドはブリリアントカットばかりでなく、長方形のバゲットカットなどさまざまなカットのものが使われているのでデザイン模様にリズムを与えることになります。

 

また、エメラルドやサファイアの代わりにヒスイが使われることもあったようで、地金はプラチナ、またはホワイトゴールドが流行します。

 

金色好みの明治・大正前期とは対照的にアール・デコは白い金属の全盛時代で、ホワイトゴールドは、プラチナが1917年に主要原産国のロシアで革命が興ったことによって供給がストップしたためにアメリカで開発されたもので、日本でも大正12年頃から市場に出回るようになりました。

 

ブランドジュエリーメーカーでは

ブランドジュエリーメーカーも時代に合わせて多様なファッション性の高いデザインジュエリーを売り出していて、カルティエが商品化したのは、クリップやブローチで、ヒスイや彫刻したサンゴなどを用いていて、また、モーブッサンは黒の七宝に色ものの石をはめたすばらしいジュエリーを作りました。

 

そして、ショーメも、アールデコ調の、エレガントな女性のためのファッションジュエリーを発表し、一方で、コペンハーゲンでは、アールデコの時代もジョージ・ジェンセンは主にシルバーで宝石を作り続けましたが、モチーフとして動物のレパートリーにジオメトリック(幾何学的)なものを導入し、花、葉っぱのブローチやブレスのバックルを作り、後にヨーロッパやアメリカの宝石商がこれをまねしたり、ガラスのジュエリーを作り始めたルネ・ラリックのペンダントにはロマンティックな女性が描かれいます。

 

さらに、1930年代末になると、デラックスジュエリーやファンシージュエリーに洗練されたモチーフ(リボン、チョウネクタイ、輪)がとり入れられるようになっていきました。

 

今日、アール・デコ時代のデザインジュエリーはアンティークとしても人気が高く、現代にも通用するファッションセンスがあるので、宝飾品もファンシージュエリーも需要が多く人気があるので高額の取引になっています。

ページの先頭へ戻る